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イノベーター理論とは?5つのタイプで分かる顧客心理と戦略

イノベーター理論とは?5つのタイプで分かる顧客心理と戦略

マーケティングに携わっていると時折耳にする「イノベーター理論」。具体的にどのような理論なのか、すぐに説明できるマーケターは意外と少ないかもしれません。

ビジネスに携わっていても、なかなか日々の仕事の中で過去の偉人が唱えた理論や学説を使う機会は限られがちです。

そこで今回は、マーケティングやその他のビジネスでも活かせる考え方「イノベーター理論」についてご説明します。自社商品を世に普及させるヒントとして、ぜひご参考ください。

イノベーター理論とは?

イノベーター理論(イノベーション普及理論)とは、新しい商品やサービス、技術が社会に普及する過程を説明した理論です。アメリカの社会学者エベレット・ロジャーズ(Everett M. Rogers)が『イノベーション普及学』という著書の中で1962年に提唱しました。この理論では、人が新しいものを受け入れる速度には個人差があるということに着目して、その速さによって消費者を5つのタイプに分類し新製品の普及の過程を説明しました。以下のような釣鐘型の図を用いて市場への浸透プロセスを表しています。

イノベーター理論と5つのタイプ

横軸は時間の経過、縦軸は新しい商品やサービスを取り入れる人の数です。新商品や技術をリリースした初期の頃はまず「イノベーター」と呼ばれる新しいもの好きの人たちがそれを採用(購入や契約)し、続いて「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」へと徐々に採用されていくことで、商品/サービスが世に浸透していく、という理論です。

例えばイノベーターやアーリアダプターのタイプの人たちが製品を手にすれば、市場の16%程に行き渡ったのではという仮説が立てられ、普及率の目安にすることもできます。アーリーマジョリティにも製品が受け入れられれば、普及率50%を達成できます。

なお、イノベーター理論の「イノベーター(innovator)」はラテン語の「innovare」に由来しており、「新しいものを作り出す」ことを意味します。転じて、新しい製品やアイデアを積極的に率先して受け入れる消費者のことをイノベーターと表現するようになりました。日本語では「革新者」と訳しますが、「イノベーター」のままで使うことのほうが多くなっています。

イノベーター理論自体は前述の通り1962年に提唱されたので、今では「考え方が古い理論だ」と言われることもありますが、現代のマーケティングにおいても顧客分析や市場理解に有用だとして、多く使われています。

提唱された当時と現在ではビジネス環境が変わってきているのは事実ですが、「古い=使えない」わけではありませんので、参考程度にビジネスに取り入れてみるのも一つです。

▼その他の顧客分析方法

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イノベーター理論で提唱される5つのユーザータイプ

5つのユーザータイプ

イノベーター理論では、新しい商品/サービスに対する態度や導入速度に応じて消費者を5つのタイプに分類しています。例えばスマホやSNS、最近で言うと生成AIなど、それまで普及していなかったモノや技術に対して、積極的に「試したい!」と思う層と、「何かよくわからないから触れたくない」と思う層がいるのは、なんとなく想像がつくのではないでしょうか。ここでは、5つのタイプ別の特徴をご紹介します。

①イノベーター(革新的採用者):市場の約2.5%

イノベーターは5つのタイプの中で、最も早く新しい商品やサービスを採用する層です。この層の人は好奇心旺盛で流行や情報への感度が高く、リスクを厭わず新しいものを積極的に取り入れる傾向があります。「目新しさ」「革新性」に対して一番に価値を感じるため、商品のメリットやベネフィット、価格にはそれほど興味がないという特徴を持っています。

②アーリーアダプター/オピニオンリーダー(初期採用層):市場の約13.5%

アーリーアダプターはトレンドに敏感で、早期に新しいものを取り入れる層です。イノベーターよりも、新商品の具体的なメリットを考えた上で購入する傾向があり、合わせて、周囲に対してレビューや評価を伝える性質も持っていると考えられています。今で言うインフルエンサーと呼ばれる人たちはここに該当します。そのため、世の中特にこの後に続く「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」にとって大きな影響力を持つのがこのアーリーアダプターの層と考えられており、企業がこの層に該当する人たちに商品やサービスを受け入れてもらえるか否かは、マーケティングの成功の鍵を握っているとも言われています。

③アーリーマジョリティ(初期多数派):市場の約34%

アーリーマジョリティは流行や情報への感度は高めですが、前述の2タイプよりも新商品に対して慎重な姿勢を取っている層です。「流行に乗り遅れたくない」という意識を強く持っている一方、慎重なため、初期採用者の様子を見て、安全だと感じられたら購入する傾向があります。

④レイトマジョリティ(後期多数派):市場の約34%

レイトマジョリティは新しい商品やサービスに対して懐疑的で、消極的な層です。リスクを嫌う傾向が強く、世間の動向を伺いながら、新商品が大多数に受け入れられ信頼性や性能が証明されたと確信したときにようやく、購入を検討する傾向があります。

⑤ラガード(遅滞層):市場の約16%

ラガードは5つの層の中で最も保守的で、新しい商品やサービスに対して全く興味関心を持っていない層のことです。この層に該当する人々は伝統や習慣を重んじるため、新しい商品やサービスを受け入れたくないとまで感じており、それらが普及しはじめただけでは購入動機にならず、伝統的・文化的なレベルまで一般化して初めて購入を検討すると考えられています。

新しい商品/サービスに対する姿勢や価値観はこの通り5つのタイプに分けて考えることができ、それぞれのタイプに合わせたPR・市場のライフサイクルを検討することがマーケティング上、重要と考えられています。

▼Webマーケティングに役立つ広告

Web広告とは?12つの種類とその特徴をご説明

Web広告は広告の一種で、ネット上のWebメディアやアプリ等に掲載される広告の総称です。インターネット広告、オンライン広告などとも呼ばれます。

イノベーター理論はどういう時に使われる?

それでは、イノベーター理論は具体的にどのような場面で役立つのでしょうか?一般的には、以下のようなシーンで活用されています。

  • 新商品/新サービスのマーケティング戦略の立案時
  • スタートアップや新規事業の成長戦略を検討する際
  • 社会の変化や技術の普及を理解するヒントとして
イノベーター理論はどういう時に使われる?

細かい活用シーンの違いはあれど、共通して主に「新しいものをどうやって広げるか?(新しいものはどうやって広まったか?)」がテーマの場面で使われる理論です。例えば新商品や新事業の初期段階ではどの層にどうアプローチするか?ある程度市場が成熟してきたらアプローチするセグメントをどのように変えようか?など、段階的に新しい商品/サービスを普及させていく戦略を検討する際によく用いられます。

また、消費者によって新しい商品やサービスを受け入れるスピードには個人差があるということを理解することは、普及が進まない原因の特定や、どの層へのアピールが足りていないのかなどの分析する際にも活用できます。

必ずしもマーケティング戦略がイノベーター理論に完全に一致するとは限りませんが、その基本的な考え方は市場分析やターゲティングの参考になります。戦略立案の際には一つの視点として活用してみてください。

イノベーター理論をマーケティングに活かす方法

それではマーケティング戦略を考える際、具体的にどのようにイノベーター理論を取り入れたら良いでしょうか?先述のとおり、5つのユーザータイプにはそれぞれ特徴があるということを踏まえ、効果的とされるアプローチ方法をそれぞれご紹介します。

▼アプローチ方法検討の際に役立つ心理学

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普段私たちが目にする広告や販促物には、消費者の目を引く工夫が多く施されています。一見、キャッチコピーや写真・画像を用いた広告制作の仕事は、クリエイティブで芸術的なもののようにも思いますが、人間心理をうまく突いた科学的なアプローチである側面もあります。

①イノベーター(革新的採用者)
【主な特徴】
  • とにかく新しいもの好き
  • リスクを恐れず、試すことに価値を感じる
  • 技術やスペックに詳しい人も多い

新しいもの好きでメリット・ベネフィットよりも革新性を求めるこの層へのアプローチは、新商品リリースへの注目を集める施策の実行がなにより重要です。例えば「最新・最先端」「限定公開」「新技術」などのフレーズを使って広告を出すなど、人目を引くような工夫を検討しましょう。またイノベーターには技術に対する深い理解を持つ、いわゆる「オタク」タイプも多く含まれるため、目新しさに加えて、技術的な情報は惜しみなく出していったほうが興味を引きやすい傾向があります。例えば製品のスペックや設計、従来製品との違いなど、他製品との差別化は積極的にPRしていきましょう。

②アーリーアダプター/オピニオンリーダー(初期採用層)
【主な特徴】
  • 世の中のトレンドに敏感
  • 周りへの影響力が強い(インフルエンサータイプ)
  • 実用性や価値があると感じたら取り入れる

トレンドに敏感で周囲への影響力が強い一方、メリットや商品価値も重視するこの層には、イノベーターへのアプローチよりも、製品の魅力やベネフィットをストーリー立てて伝えることが重要です。広告やPRメッセージでは、その点を意識し、単なる情報提供に留まらず、共感や感情を引き出す構成を心がけましょう。
また、例えば「誰よりもあなたが先に試す価値がある」「あなたにこそおすすめ」などの特別感を演出した表現も効果的です。流行を発信するという意識を強く持ち、自分が“最初に見つけた”と感じられる体験に価値を見出す傾向があります。まだあまり流行っていないけど先取りしたいという欲求を刺激するようなメッセージを心がけましょう。

▼アーリーアダプター層のPRにも効果的なSNS広告

SNS広告の基本と成功ポイント|主要6大SNSの違いも解説

今やWebマーケティングに欠かせない存在となったSNS。企業の活用事例としては、公式アカウントを開設して情報を発信する方法が一般的ですが、実は広告を出稿するという選択肢もあることをご存じでしょうか?

③アーリーマジョリティ(初期多数派)
【主な特徴】
  • 新しいものには慎重だが、周りが使っていたら気になる
  • 実績や事例を求める
  • 安定性や信頼性を重視する

少し慎重ですが購入意欲は比較的高いアーリーマジョリティに対しては、これまでの利用者のレビューやメディア掲載などの実績を提示することで、効果的なPRが出来る可能性があります。また市場の約34%と多くの人がこの層に該当するため、アプローチ先を広げていくことも大切です。仮にそれまではテストマーケティングとしてアプローチ先を絞っていたとしたら、新しい顧客層へのアピールも検討してみてください。「皆が使ってる」安心感や導入効果、メリット、コストパフォーマンスなどを明確に伝えながら広告を広げれば、アーリーアダプターのときとはまた違った顧客層の開拓になるかもしれません。

④レイトマジョリティ(後期多数派)
【主な特徴】
  • リスク回避志向が強い
  • 保守的で慎重
  • 変化に対する不安が強い
  • 社会のスタンダードになって初めて動く

保守的で慎重なこの層に商品/サービスを使ってもらうには、例えばこれまでの導入事例や「シェアNo.1」「〇〇人気ランキングNo.1」などの実績、社会的に標準化している事実などがあればそれを伝えるのが大切です。また、この層はリスクを避ける傾向が強いため、例えばカスタマーサポートやアフターサービスを充実させ、安心して使ってもらえるような工夫とそのアピールも有効と言えます。

▼PRに実績を用いる際に気をつけたい景表法

【広告主様向け】
景品表示法(景表法)の概要とアフィリエイト広告運用の注意点

インターネットの発達により、消費者と事業者は直接の会話がなくても物の売買や取引がWeb上で簡単にできるようになりました。だからこそ、商品/サービスを提供する事業者には、消費者の方に適切な情報を届け、誤解がないように取引を成立させることが一層求められてます。

⑤ラガード(遅滞層)
【主な特徴】
  • 伝統や習慣を重視する
  • 新しいものにかなり消極的
  • 現状維持を好む

市場の16%に当たるこの層については上記の特徴から、広告などで購入や契約を促しても効果がないことも多く、一般的にはアプローチ対象外とするのが良しとされています。積極的に広告等でアピールするよりも、向こうからの問い合わせや流入を待ち、必要としてくれた際にシンプルで明快な導入案内を出すのが望ましいです。また、安心感を与えるために例えば「サポートがつく」「今までのやり方と両立できます」などの旨を伝え、それまでの習慣を大きく変えなくても導入できるという点をアピールするのも効果的です。

合わせて知っておくべきキャズム理論

イノベーター理論を扱う上では、キャズム理論という理論も合わせて覚えておくとより市場の理解度が高くなります。キャズム理論とは、イノベーター理論を基にした、特にハイテク技術の普及に焦点を当てた理論です。ハイテク技術や新しい製品が市場に浸透する過程には、特にアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に大きな溝(キャズム)が存在し、そこを超えられるか否かが爆発的に普及する否かの分岐点になっているという主張です。
ジェフリー・ムーアというマーケティングコンサルタントが、著書「Crossing the Chasm」の中で提唱しました。

イノベーター理論と5つのタイプ

イノベーター理論では実際、アーリーアダプターとアーリーマジョリティは価値観が大きく異なるとされています。

アーリーアダプター(初期採用者)
  • 技術に敏感
  • リスクを取ってでも新しいものを使いたい
  • 革新性に価値を感じる
アーリーマジョリティ(実用主義者)
  • 慎重で実績重視
  • 他人の成功例や信頼性を確認してから動く
  • 実用性やコストパフォーマンスを重視

この価値観の違いによって両者の間には深い溝があり、例えばアーリーアダプターに商品が売れても、アーリーマジョリティ以降の層には受け入れられず、売れ行きが伸び悩む現象がよく起こるというのがキャズム理論です。

つまり、キャズムを超えてアーリーマジョリティ以降に商品やサービスが受け入れられるかが成功の分かれ道と言い換えることもできます。

キャズムを乗り越えるためには、アーリーマジョリティ以降に受け入れられるように、自社商品/サービスを「目新しい商品」から「安心して誰もが使っている商品」に進化させていく必要があります。そのためには、前述したとおり「社会的信頼性」や「安心感」などを、第三者のお墨付きを得ながら製品を普及させていくマーケティングが重要になりそうです。

まとめ

今回はイノベーター理論について説明しました。

イノベーター理論は古く古典的な理論です。現代は提唱当時と環境が変わり、SNSや口コミの普及で伝播の「速さ」や釣鐘型の「形」は昔と異なることが考えられます。

しかし一方で、新しいもの好き(イノベーター)や様子見(レイトマジョリティ)などの層は現代でもはっきり存在しており、人間の採用行動の傾向はそこまで大きく変わっていない側面もあります。
実際、今でも有用な思考フレームワークの一つとして使われていますので、現代のビジネスに合わせて補足的に使いながら、うまく取り入れてみてください。

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